2012年4月6日金曜日

ファーゴ | 映画のメモ帳+α


ファーゴ(1996 アメリカ)

原題   FARGO
監督   ジョエル・コーエン
脚本   イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
撮影   ロジャー・ディーキンス   
音楽   カーター・バーウェル
出演   フランシス・マクドーマンド スティーヴ・ブシェミ
      ウィリアム・H・メイシー ピーター・ストーメア
      ハーヴ・プレスネル ジョン・キャロル・リンチ
      クリステン・ルドルード トニー・デンマン

第69回(1996年)アカデミー賞主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、脚本賞受賞。作品、監督、助演男優(ウィリアム・H・メイシー)、撮影、編集賞ノミネート。第49回カンヌ国際映画祭監督賞

ファーゴ』は殺人事件を題材にしているにもかかわらず、どこかふわふわした印象を残す不思議な映画である。"ひとつの間違いが次の間違いを引き起こす雪だるま式"の犯罪を描いたものでストーリー的にはそれほど新鮮味はない。1987年に実際に起こった事件を基にしている、とあるが大部分は創作のようだ。


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〜物語〜
アメリカミネソタ州に住むジェリー(ウィリアム・H・メイシー)は妻子と幸せに暮らしているようにみえたが実は多額の借金を抱え破産寸前。そこで彼は妻ジーン(クリスティン・ルドリュード)を偽装誘拐し、自動車業界の大物である妻の妻の父親でウェイド(ハーヴ・プレスネル)から身代金を騙し取る計画を立てた。ジェリーはノース・ダコタ州ファーゴへ向い、"変な顔"のカール(スティーヴ・ブシェーミ)と言葉をしゃべらない大男グリムスラッド(ピーター・ストーメア)に誘拐の実行を依頼する。2人は誘拐を実行するが逃走の途中で警官と目撃者を撃ち殺して殺人事件に発展させてしまう。女警察署長で出産を控えていたマージ(フランセス・マクドーマンド)は証拠をかき集めた結果、ジ� �リーにたどりつくが...

陰惨な殺人事件の話なのに、どこかおかしい。
悲劇と喜劇は紙一重というが、まさに対比とギャップだらけの映画である。

 警察署長と連続殺人犯のキャラクター


どのようにジェニファー·ロペスは、形にとどまるん。

警察署長という言葉を聞くと、大半の人はイカメツイ男を想像する。
ところがここで登場するのは女警察署長マージ。しかも妊娠中!そのせいか?彼女の話し方はおっとりとしていてとても有能には見えない。だが、実際はすご腕らしい。自ら現場に乗り出して捜査に当たる警察署長がいるのだろうか?というツッコミはやめておきます(笑)。また警察署長の夫ノーム(ジョン・キャロル・リンチ)が売れない風景画家というのもミソ。マージのための朝食まで作る。ここでも夫と妻の(一般的に思い浮かべる)役柄が逆転している。

連続殺人犯となってしまったカールとグリムスラッドの2人も凶悪というよりはむしろ間抜けである。追うほうも追われるほうも、立場から連想されるステレオタイプのキャラクターではないことが面白い。

 殺人事件のイメージ� ��、その登場人物、風景

マージが調査で出会う人々はみなアホっぽい。たとえばカールに関しては"とにかく変な顔の人"としか言わないアホ面の女が出てくる。殺人や誘拐から連想される暴力性、凶悪性はここでは見られない。ミネソタ州の住民たちも、スカンジナビア系の移民が多い場所であるという。彼らは「オー、ヤー」というのんびりした口調で挨拶を交わす。そして殺人事件の血と真っ白な雪、赤と白の対比である。真っ白な雪原の広さは、登場人物の心の狭さをより強調している。


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 「これは実話である」というけれど...

映画の冒頭に「これは実話である。この物語は1987年にミネソタで起こった」と但し書きが入る。コーエン兄弟はインタビューの中で「ミネソタで起こった実話に刺激を受けて作った。基本的には実話だが、キャラクターは架空のもの」と答えている。だが、実話であることにはかなり疑問がもたれている。『ファーゴ』の公開当初、インターネットでも活発に議論されたらしいのだが、誰一人モデルとなった事件を見つけられなかった。少なくても映画公開当時まではミネソタ州近辺では連続殺人をともなった誘拐事件は起きていないことはほぼ確実のようだ。だ が"『ファーゴ』は実話ではない"とまでは断定するには根拠が弱いが...。ジョン・ウォーターズ監督『シリアル・ママ』(1994)のように、どう考えても創作としか思えない話を実話と断言した例もあるが、"ミネソタ州の田舎町で1987年に起こった"と言われれば...もしかしたら本当かもと思ってしまう。「実話である〜」はコーエン兄弟の確信犯的イタズラである可能性が高い。


フランシス・マクドーマンド演じる妊娠8ヶ月目の女警察署長。この人のひょうひょうとした個性が作品を支えている。何事があってもあわてず、力むこともない。ごくごく普通のいい人。多くの犠牲者を出した殺人事件を解決した後、自分には新しい命の誕生が待っている。なんとも穏やかな優しさで終わる。死を扱った題材で、最後にこういう形で希望を持たせるパターンは比較的よく見られる。(最近では『おくりびと』など)だが、風景画家の夫ノームが3セント切手に自分の鴨の絵が採用されたと喜ぶ場面はちょっと狙いすぎ?

普通の人がこんなに浮かび上がる映画は珍しいです。オスカーまでとっちゃうし(笑)そして真っ白な雪。スターもいなければ派手 なアクションも特撮映像もない。雪と変な登場人物とありふれたオバチャンが出てくる、それだけの映画なのに今もなお印象は鮮烈。コーエン兄弟のテイストはやや苦手なのだが、『ファーゴ』は傑作だと思います。あ、締めの文句でも"対比"が出てしまった!
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